目的のない勉強会

しがないニートです

【風の歌を聴け】生きるためには考え続けなくちゃならない【村上春樹】

鼠は金持ちの息子であるのに、金持ちが嫌いだ。金持ちの息子であるからこそ、金持ちが嫌いなのかもしれない。どちらにせよ、彼は金持ちが嫌いで、なぜかと聞くと「彼らは大事なことは何も考えていない」で「考えてるフリをしてるだけ」だからだという。なぜ大事なことを考えていないかと言うと、

必要がないからさ。もちろん金持ちになるには少しばかり頭が要るけどね。金持ちであり続けるためには何も要らない。人工衛星にガソリンが要らないのと同じさ。グルグルと同じところを回ってりゃいいんだよ。でもね、俺はそうじゃない。あんただって違う。生きるためには考え続けなくちゃならない。明日の天気のことから、風呂の栓のサイズまでね。そうだろ?」

「ああ。」と僕は言った。p.16

鼠の言いたいことはわかる。でも、考えるべき大事なことっていったいなんなんだろう

がん細胞のことを考えていれば、がん研究が進み、医療が進歩して、人々がもっと健康に生き続けることができるかもしれない。

東京都の一極集中を緩和すれば、人々の金銭的な格差が減り、平等な社会が実現されるかもしれない。

でも、これが俺にとって大事なことかと聞かれれば、素直にうんとは言えない。

なんで明日の天気や風呂の栓のサイズなんて大事なんだ。

考えるべき大事なことっていったいぜんたいなんなんだ。

考えるべき大事なこと

僕は死んだ人間の本だけを読むわけじゃないけれど、ここで死んだ人間の文章を引用しようと思う。

真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである。それ以外のこと、つまりこの世界は三次元よりなるとか、精神には九つの範疇があるのか十二の範疇があるのかなどというのは、それ以降の問題だ。*1

カミュによれば、人生が生きるに値するか否か、これが考えるべき大事なことらしい。

ある問題のほうが別のある問題より差迫っているということを、いったい何で判断するのかと考えてみると、僕の答えはこうだ、その問題の惹き起こす行動を手がかりにしてだと。

つまり、生きる価値がないと判断づけたらば、死んで他の問題は問えなくなるし、生きる価値があると判断づけたらば、その時は生きて他の問題を考えればいいということだろう*2

僕も彼の考えに賛成だ。賛成だけど、これは価値の問題になる。どこかで述べたいと思っている。

彼は本の中で長々とわからないことを書いていて、まだ全部読んでいない。だから、生きる価値があるか否かをどう判断するのか、彼の考えを僕はまだ知らない。話長すぎ、ごめん、今度読む。

*1:《シーシュポスの神話》カミュ

*2:仮に生きたとして、第二に大事な問題ってなんなんだろう?